レポート(4/4)

大宴会 〜見えないものと共に〜

この部が始まる前、大澤寅雄氏によるビデオジョッキーで民俗芸能の映像が流れていた。お客さんは最初こそ遠巻きに休憩したりお茶を飲んだりしていたが、今回の上映は畳の部屋で寝っこがって見れるので畳の部屋に移動したり、徐々に興味のある人が集まって来た。
わたくし手塚夏子は、映像を見ながら寅雄氏と雑談をしていたが、そこから徐々に芸能を見ていた時に自分に起きたことを手探りし始める。しゃべりながら、手探りしていくとだんだん、体の状態も変わってくる。見ている人々の空気感も変わってくる。話題は、御薗の花祭りの中で、鬼が鉞を振り下ろす瞬間に見えない力がその場の何かを変えてしまうという、私の体感をしゃべっていたが、その時の時空と現在自分のいる時空を繋げるように行ったり来たりしながら、言葉を歌にして行った。言葉が歌になる瞬間、浮遊感がやってくる。終わった後、おひねりを直接手渡してくださる方々がたくさんいらして、その暖かさと重さを味わい幸福だった。
そうこうしているうちに、武藤大祐氏による『来る、きっと来る』が始まる。画面いっぱいに映った不気味な人形の数々から話は始まり、なんとも言えない不思議な「待つ」時間を共有したひとときを過ごす。詳細は、次回武藤氏の作品に立ち会った時のために内緒にしておきます。その時は、きっと来ます。
またまたカメラ氏登場〜。最後のカメラは『カメラ寿司』。「かめら?」「スッシー!」「かめら?」「スッシー!」と、不思議な映像と共に強要されるスッシーコールに、いやがおうにも盛り上がって行く。寿司が出来上がり必要以上にもりあがって絶頂の中、またしても不思議な「落ち」にて客席をぽっかーんとさせ颯爽と去って行くカメラ氏であった。
トリは、韓国から参加のソ・ヨンラン。韓国の友人と一緒に作ったというこの作品は、その友人達とのスカイプ通信を交えながら、彼女が始めたフラメンコや友人がやっているベリーダンスの共通点やルーツを探りながら、民俗や文化の伝播に思いを馳せ、旅をするように振り付けを踊ってみせるとても不思議なテイストの作品であった。通信がスムーズに行かないところもあったけれど、地理的な距離をむしろ感じたりしながら、体の旅と文化の旅を味わって、今回の野良が無事終了〜。
カーテンコール。というか…そのときまだ、現場にいる出演者全員がお客さんの前にならぶ。本当に、いったいどんなイベントなのだ???という感じが満載で素敵な瞬間でした。長時間おつきあいくださったお客様に感謝!そして、暖かいおひねり、お花代、ありがとうございました!お花代は、お一人50円〜20,000円まで、合計85,950円でした。この初めての感触は、本当に深くコミュニケーションをしている感じがして、お金のことについても考えさせられました。
打ち上げでわいわい飲みながら、おまけとして、みんなで盆踊りもどきをつくりました。これは本来「間にあるものとしてそこに置く」という作品名で私がつくったものですが、そこにいる人たちの中から間にある、言葉や、踊り、を立ち上げたいという思いでつくりました。マイナーコードの渋い演歌でこのような歌詞になりました。

くじらが
東京ともかく
あなたがいない
にもかかわらず
アマゾンから
サンパウロあたりまで
山となった

私は終わった後もずっとこの歌をリピートしてしまいました。
手塚夏子